私がダンスを始めたのは13才のころ。
ダンス部に入部し、モダンやジャズダンス、創作ダンスに明け暮れました。
15才の頃に行った、ジャネットジャクソンのコンサートをきっかけに「いつしか私もあのステージでバックダンサーとして踊りたい!」という夢を持つようになりました。
それから19年後、ダンス人生に幕を閉じました。(ドラマチック〜〜w)
このお話は、「ガチダンサーとは言えるけど、プロダンサーにはなれなかった私」のお話。
ご興味ある方だけ、読んでみてください。
しかし、これから「プロダンサーになりたい!」と思っている方には、ぜひ聞いて欲しい話。
なぜなら、私のように”ガチダンサー”にならないようにするためのことが書かれているからです。
ダンサーとしてチェックするポイントも書いているので、知っておくと回避ができるかもです。
私がダンスをやめたリアルな理由
私の場合、英語で言うと、Burn outしたからだと思います。
Burn outとは、燃え尽き症候群と言うと近いでしょうか、とにかく、いろんな意味で燃え尽きました。
その理由をリストにすると下記のようになりました。
- 理由その1 振付が即座に覚えられなくなった
- 理由その2 2番目の夢が叶った
- 理由その3 人間関係に疲れた
- 理由その4 オーディション生活に疲れた
- 理由その5 やめるタイミングは今しかない!と思った
理由その1 振付が即座に覚えられなくなった
今でも忘れない、2018年の春。
長丁場に渡った、女性ラッパーであるニキミナージュのミュージックビデオのオーディション。
無事オーディショに受かり、リハーサルが後日から始まりました。
今回の振付師は、売れっ子ダンサーであり振付師のアリーヤジャネル。
LAでヒールクラスを教え、インスタのフォロワー数は1ミリオン超えの若手売れっ子ダンサー。
そんな彼女のダンススタイルがどんな感じなのかは、オーディション当日の振付と、ビデオで確認していた。
しかし、リハーサルでは教えられても振付が全く頭にも体にも入ってこない!!
普段から新たな人から振付を習うことを怠っていたのと、ヒールでの練習を怠っていたツケが回ってきた。
リハーサル日数は2日間与えられていたものの、振付も構成も1回の3時間くらいのリハーサルで終了。
もちろん、その振付師のあからさまな態度から「嫌われた」とわかりましたw
理由その2 2番目の夢が叶った
私の1番の夢は、「ジャネットジャクソンのバックダンサーになる」でした。
2番目の夢は、「ジャネットジャクソンのオーディションを受ける」でした。
その2番目が、私の誕生日の日に叶いました。
これは神様がダンサー人生最後にくれた誕生日プレゼントだと、勝手に思い込みましたw
ダンサーとして、どんなダンサーになりたいのか?を明確にすると良いです。
ツアーダンサーになりたいのか?振付師になりたいのか?フリースタイラーになりたいのか?ブロードウェイのダンサーになりたいのか?ダンサーにもいろいろとありますが、〇〇と仕事がしたい!あの〇〇舞台に立ちたい!などの細かい夢があると誰に相談するべきか、誰のクラスを受けるべきかが明確になります。
理由その3 人間関係に疲れた
人間関係は、いわゆるコネクションです。
コネクションと言うと、響きがあまりよくありませんが、実はどの世界にも大事な人脈のこと。
特にエンタメの世界では、人とのつながりが実力と同じくらいか、それ以上に重要かも。
アリアナグランデの振付師でもあるブライアン&スコットも、「ダンサーを決める時は友達くらい近い存在の人を選ぶ」とはっきり言っています。
実際に、彼らはなかなかオーディションをしません。
誰が誰を知っているか、誰が誰と仕事をしていたか。
誰がディレクターか、プロデューサーか、振付師か。
知っているだけで、行動が変わります。
しか〜〜し!私はそれを怠った。
ちゃんと考えて行動していなかった・・・そしてグルグル回って、疲れたのですw
それでも得た仕事はいくつかありますが、大きな仕事にはつながりませんでした。
それらを簡単にできる人が、やっぱりいるんですよね。
理由その4 オーディション生活に疲れた
もちろん、アーティストビザを取得したからには、オーディションが待っている!
諦めない!!と思っていたものの、回数を重ねると精神的にけっこうダメージくらいましたw
長蛇の列に並んで、何時間も待たされ、待っている間は準備運動をずっとやる。
大勢多数の中で振付を学ぶのですが、人が多すぎて、人の手や足が当たる当たるw
そのわりにジャンプや回転など高度な技が入るw
しかも背が低いと見えないから、強気で前に出ないと「見えなくて覚えられない」は通用しない。
見えないなら、前にいる上手い人を見て覚えるw
振付が終わったら、また待ち、待ち、待ち。
体が冷めないよう、ずっと練習。
ほんでもって1次オーディションで切られる〜〜〜!!w
オーディションなんて「落ちるのが普通」とわかっているものの、サクッとコネクションで仕事を取っている人を見ると、気持ちがもたないこともw
ロサンゼルスに来たばかりの時に受けていたダンスオーディション。 日本でもあまり受けたことがなく、ことごとく落ちていていました。 何を改善したらうまく行くのか、色々と自分自身で試した結果と、 なぜこの人はオーディションに受か[…]
理由その5 やめるタイミングは今しかない!と思ったから
実は理由その1とその2は、同時に起こりました。
ミュージックビデオの撮影は27時間つづき、解放されたのは朝の7時。
そのまま寝ずに、ジャネットのオーディションへ行きました。
なんと待ち時間、5時間。
その1日で、なんだか急にお腹いっぱいになったのです。
最後の2〜3年は、怪我をしても治りが遅かったり、頭が回らなかったりしたことが多く、
自分は前に進んでいるつもりなんだけど、後ろに引っ張られている感じがいつもしていました。
だからこれがいいきっかけだ!と思ったのです。
おまけ
ダンサーのお仕事を得る流れは・・・
- 練習を重ねてスキル磨く
- オーディションやコネで「仕事」を勝ち取る
- 「仕事」を丁寧にこなす
- コネを作り続ける・練習を続ける
- コネがないときはオーディションで「仕事」を勝ち取る
- 「仕事」が終わる
- またオーディションやコネで「仕事」を勝ち取る
「仕事」は常に自分で勝ち取らないといけません。
商品は「自分」であり、営業と同じです。
このサイクルを自分でうまく回せなかったことが、私自身ガチダンサーにとどまってしまった理由だと思いますw
このサイクルの中でも、③「仕事」を丁寧にこなすの部分が大事だと思っていて、
それが丁寧にこなせたかどうかで、その後のダンサー人生を左右すると思います。
「丁寧にこなす」とは、フリ覚えの速さや毎回一生けん命踊るということですが、
さらに、リハーサルで振付師がセンターに置くものを探していたら、
先回りしてサッと水ボトルを置いたり、連絡はすぐに返したり、
ちょっと助かることをすることで印象がよくなります。
また、ディレクターやプロデューサーにも挨拶をしてコミュニケーションを取ってみたり、
はたまた現場のスタッフさんと仲良くなったり・・・
そういった人間関係の構築はどの世界でも大切ですね。
ダンスは趣味になった。
ダンスの世界からさらに視野を広げるようにしてから、新たな世界が見えて、
また違う新たなことに挑戦したいと思うようになりました。
新しいことをするにあたり「ダンスほどの情熱レベルじゃないといけないんじゃないか」と最初は思っていたのですが、
そのモヤモヤした感情も乗り越え、今ではまた違う土台で挑戦することにワクワクしています。
私にとってダンスはこれからも、表現の一つには変わりません。
ダンスを「仕事」として捉えていたのを、「趣味」に移行した感じです。
そして私が20年ほどダンスにどっぷり浸かっている間に、あんなことも、こんなことも成し遂げた人たちを見て、
自分も頑張ろうと思えるようになりました。
これからプロダンサーを目指そうと思っている方、めげずに頑張ってくださいね!!